金脈の形成とは?金の誕生メカニズムと地質学的プロセスを徹底解説
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- 2月2日
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更新日:11月9日
執筆者
Amu Kawamoto (IGI Lab-Grown Diamond Professional Training 認定)
はじめに|金脈の形成に迫る
金は人類史上もっとも価値のある金属のひとつとして古来から珍重されてきました。しかし、その「金」がどのようにして地中に存在するようになったのか、私たちが目にする金鉱脈はどのように誕生するのかを深く知る機会は少ないかもしれません。本記事では、金脈の形成について、マグマ活動・熱水系・変成作用といった地質学的観点から詳しく解説し、金という鉱物がどのように地中で結晶化していくのかを読み解きます。

マグマ活動と熱水系が生む金脈の形成
マグマの上昇と変質作用
地球内部で発生したマグマは地殻に向かってゆっくりと上昇します。この過程でマグマに含まれる金や銀などの貴金属元素が、岩石との反応によって溶け出し、流動性を持った状態になります。これが「熱水系」の原点です。マグマから供給された熱によって地下水が加熱され、金属を溶解・運搬する高温高圧の液体となって移動していきます。
熱水対流と金の運搬
この熱水は、地殻内の断層や亀裂に沿って移動します。特に塩素や硫化物と結合することで、金は「錯体」と呼ばれる形でより長距離を輸送されることが可能になります。これにより、金は広い範囲にわたって分散しつつも、適切な条件がそろえば、集中して析出(沈殿)することが可能となります。
金の析出と鉱床の生成
温度と圧力による析出
断層や地層の隙間に熱水が流れ込むと、その流路の中で温度や圧力が変化します。熱水が冷却され、また圧力が低下すると、それまで溶解していた金は水にとどまれなくなり、固体として析出します。これが金鉱床の原型となります。
クォーツとの共生と鉱脈の可視化
金はしばしばクォーツ(水晶)とともに析出します。これは、クォーツが岩石中に沈殿する過程で、金が巻き込まれて共に鉱脈を形成するためです。金鉱山で見られる白色のクォーツ脈の中に金色の粒が確認されるのは、このためです。
その他の金脈形成メカニズム
堆積型金鉱床(砂金の誕生)
元々あった金鉱床が風化や浸食を受けて金が露出すると、それが雨や川の流れによって運ばれ、比重の重さから川底に沈積します。これが「砂金」です。日本でも江戸時代には川砂から金を採取することが盛んに行われていました。
変成作用と金の再配置
地下深部では、高温高圧にさらされることで岩石が再結晶化する「変成作用」が起こります。この際、もともと含まれていた金が再分配され、局所的に濃集されることがあります。変成帯に存在する金鉱床はこのプロセスによって形成されたと考えられています。
まとめ|金脈の形成を理解する意義
金脈の形成には、マグマ活動に起因する熱水系、温度や圧力変化による析出、さらに風化や変成といった長大な地質プロセスが関与しています。このような地球内部の壮大なメカニズムによって、何億年という時間をかけて金鉱床が形成されるのです。
ジュエリーに使われる「金」ひとつを手に取るだけでも、その裏には地球の深層で起こった複雑で壮麗なプロセスがあることを感じていただけたのではないでしょうか。金を知ることは、地球を知ることにつながります。

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