天然ダイヤモンドが掘削されるまで。
- Admin
- 2023年6月16日
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更新日:8月3日

天然ダイヤモンドが掘削されるまで。
天然ダイヤモンドは、地球内部の高温高圧という過酷な環境で生まれた、炭素の結晶です。地中深くで形成されたそれらの結晶が、火山活動によって地表へと押し上げられ、私たちの手に届くまでには、壮大な自然の物語と精緻な人の手が重なっています。
地中深くで育まれる結晶
ダイヤモンドは地下150〜200kmのマントル層にて、高温・高圧の条件下で生成されます。炭素原子が極めて強固な結晶構造をとることで、硬度・輝きに優れたダイヤモンドとなるのです。
キンバーライト火成岩とその役割
地表に姿を現すためには、火山活動などによる急激な地殻変動が必要です。その際、ダイヤモンドを運ぶ“通路”となるのが「キンバーライト」と呼ばれる岩石です。キンバーライトは、地下深部から噴出したマグマが冷えて固まった火成岩であり、ダイヤモンドを内包しています。
キンバーライト鉱床の種類
キンバーライトには主に次の2種類があります。
・パイプ鉱床(管状鉱床):火山の噴火によって形成された縦に伸びた管状の鉱脈
・沖積鉱床(漂砂鉱床):風化・浸食により河川や海岸へと流された堆積物
パイプ鉱床の掘削方法
パイプ鉱床では、爆薬やドリルを用いて地中を掘削し、キンバーライトを粉砕・採取します。その後、細かく砕かれた鉱石から、物理的・化学的な処理によってダイヤモンドを分離します。
沖積鉱床の採掘方法
河川や海岸に堆積した砂利の中からキンバーライトを探し出す方法です。パワーショベルやブルドーザー、真空吸引機などを駆使して広範囲を掘り起こし、ダイヤモンドを含む鉱物を選別します。
極めて低い含有率
実際にキンバーライトに含まれるダイヤモンドの割合はごくわずかです。パイプ鉱床:約2,000万分の1沖積鉱床:約1億分の1
このうち宝飾品に適した品質のダイヤモンドは、さらに限られます。パイプ鉱床:10〜20%沖積鉱床:30〜40%
ダイヤモンドの選別と収集
採掘後の鉱石はまず粉砕され、不純物を除去します。その後、レーザー装置や熟練技術者の手により、ダイヤモンドだけが厳密に選別・収集されます。
研磨と評価、そして商品化へ
掘り出されたダイヤモンドは、ジュエリーとして使えるように研磨されます。そして「カラット」「カラー」「クラリティ」「カット」の4C評価基準に基づきグレーディングが行われたのち、デザイン・セッティングの工程へと移ります。
天然ダイヤモンドの本当の価値
天然ダイヤモンドの美しさと価値は、その形成過程の希少性と採掘の困難さ、そして人の手による厳密な選別と加工によって支えられています。一粒の輝きの裏にある、自然と技術の積み重ねを知ることで、その価値はより深く実感できるのです。
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