デビアス撤退の真相:なぜ世界最大のダイヤ企業はラボグロウン市場から去ったのか?
- Admin
- 6月4日
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更新日:7月27日

2025年5月、ダイヤモンド業界に大きな転機が訪れました。世界最大のダイヤモンド企業「デビアス」が、自ら手がけたラボグロウンブランド「Lightbox」を終了するという公式声明を発表したのです。この出来事は単なる事業整理ではなく、業界のパワーバランスや未来の構造に深く関わる可能性を秘めています。本記事では、円山プレシャスの視点から、デビアスの真意とラボグロウン市場の未来について紐解いていきます。
デビアス Lightboxとは何だったのか?
2018年、デビアスは突然「Lightbox」というブランドを立ち上げ、1カラット800ドルという破格の価格でラボグロウンダイヤモンドを販売し始めました。この価格設定は当時の常識を覆し、市場に衝撃を与えました。
しかし、同時にLightboxは「婚約指輪ではなく、ファッション用途に」と強調し、天然ダイヤモンドとの違いを明確に線引きしました。これにより、多くの業界関係者が「これは市場の拡大ではなく、制限だ」と感じるようになります。
価格破壊は“戦略”だったのか?
今回のデビアス公式声明(公式発表はこちら)を読んでわかるのは、Lightboxの価格戦略が市場価格の構造に大きな影響を与えたという点です。
“Since the launch of Lightbox, prices for lab-grown diamonds have declined by more than 90%.”(Lightboxの登場以来、ラボグロウンダイヤモンドの価格は90%以上下落した)
この発言は、「自ら価格を崩しに来た」ことを暗に認めているとも受け取れます。つまり、ラボグロウン市場が天然市場を脅かさないよう、先手を打って市場コントロールを仕掛けていた可能性があるのです。
撤退=信頼の低下ではない
Lightbox撤退の表向きの理由は、「事業の簡素化」「中核以外への資源配分の見直し」とされています。しかし本質は、「役割を終えた」からに他なりません。ラボグロウンが“本格的に選ばれる時代”の前に、**「価格の暴落」→「印象の操作」→「市場の信頼性低下」**というステップを踏むことで、ラボグロウン全体の成長速度を抑えようとしたとも読めます。
なぜダイヤモンドは金融商品にならなかったのか?
デビアスのLightbox撤退は、ラボグロウンの価格競争に大きな影響を与えました。一方で、天然ダイヤモンド自体がなぜ「金」のように投資対象として扱われてこなかったのか?という問いも、今こそ考える価値があります。
その理由は主に以下の4点です:
一物一価ではない(個体ごとに品質が異なりすぎる)
市場価格の指標が不透明で流通性が低い
購入から売却までのスプレッド(差額)が大きい
真贋や等級の評価に専門性が必要で、一般消費者には難しい
このように、金融商品には向かない構造そのものが、逆に「感性で選ぶ宝石」としての価値を支えてきたとも言えます。
※以下の図は、ダイヤモンドが金や銀と異なり金融資産にならない理由を整理したものです。

それでも、ラボグロウンは進化している
デビアスのような巨大企業が撤退することは、チャンスでもあります。なぜなら、「資本とブランド力」に頼らず、品質・価格・誠実な説明で評価される市場へと移行するからです。
当店でも取り扱うラボグロウンは、すべて第三者鑑定機関の認定を受けた高品質なダイヤモンドです。1カラットで満足する時代から、2カラット以上の“存在感ある選択”が現実となっています。
円山プレシャスの立場とこれから
私たち円山プレシャスは、「価格の安さ」ではなく「納得できる理由と価値」で選ばれるジュエリーを届けたいと考えています。ラボグロウンが持つ透明性・倫理性・合理性こそ、次の時代の宝石のあるべき姿。Lightboxが去った今こそ、信頼できる小さなブランドの出番です。
最後に:信じるべきは、あなた自身の“眼”
ラボグロウンダイヤモンドは、資産性ではなく“感性”と“想い”で選ばれるものです。それが、あなたの記念日や物語を照らすにふさわしいものであれば、天然か人工かという違いに意味はありません。
デビアスが去った今だからこそ、本当に必要なのは価格でもブランドでもない、「あなたの選択」です。
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